実務で役立つ!リスティング広告レポートの作成手順と改善のコツを完全ガイド
リスティング広告の効果を正しく把握し、改善につなげるためには、レポートの作成が欠かせません。しかし、「何をどうまとめれば良いのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、以下の点を中心にご紹介します。
- リスティング広告レポートの基本
- レポートの作成方法
- 広告運用担当者に求められるスキル
リスティング広告レポートについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
リスティング広告の全体像をつかむには、基礎的な知識の習得も欠かせません。
初心者の方向けに、リスティング広告の勉強法をまとめた記事もご用意していますので、あわせてご覧ください。
https://owned.co.jp/column/ads/listing-ads-study-2
contents
リスティング広告レポートとは?
リスティング広告の成果を最大化するためには、定期的なレポート作成が不可欠です。この章では、そもそもリスティング広告とは何か、なぜレポートが必要なのか、そして得られるデータの価値について解説します。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力した際に、検索結果の上部や下部に表示される広告のことを指します。Google広告やYahoo!広告が代表的なプラットフォームであり、クリック課金型の広告(PPC)としても知られています。ユーザーの検索意図に沿った広告を配信できるため、コンバージョン率が高く、効果的なマーケティング施策として多くの企業に活用されています。
リスティング広告にレポートが必要な理由
広告運用においてレポートは、単なる「結果の報告」にとどまらず、「次にどう改善すべきか」を見つけ出すための重要なツールです。特にリスティング広告は、キーワード、地域、時間帯など多くの要素が影響するため、分析する指標も多岐にわたります。そのため、運用担当者が現状を可視化し、施策の成果をクライアントや上司に伝えるうえでレポートは欠かせない存在なのです。
リスティング広告で得られるデータの価値
リスティング広告では、クリック数、表示回数、コンバージョン数、費用対効果(ROAS)など多くのデータが取得できます。これらの数値は、単に広告の効果を確認するだけでなく、ユーザーの行動傾向や興味関心を分析する材料にもなります。たとえば、特定の曜日や時間帯に成果が出やすい傾向が見られれば、そのタイミングに予算を集中させるなどの戦略も可能です。適切なデータの活用は、広告運用の精度を高め、費用対効果の向上にも直結します。
リスティング広告レポート作成の6ステップ
リスティング広告レポートは、目的に合った指標を見極め、流れに沿って丁寧に作成することが重要です。
ここでは、初心者の方でも迷わず進められるよう、作成の基本ステップを6つに分けてご紹介します。
目標の設定と目的の明確化
広告運用で成果を出すためには、レポートの目的と評価軸を明確にすることが出発点です。
よくある目標例
- コンバージョン数を増やしたい場合:CV数、CPA、CVRの数値推移を重視
- クリック率の向上を目指す場合:CTR、広告文別のパフォーマンスを比較
- 広告費を最適化したい場合:CPC、インプレッションシェア、品質スコアを確認
目的によって見るべきデータは大きく変わります。分析の軸がぶれないよう、事前に確認しておきましょう。
レポート作成の基本フロー
レポートは以下の手順で作成するのが基本です。
- 目的を明確にする:広告運用のゴールを定義(例:リード獲得数の最大化)
- 必要な指標を選定する:KPIや目標値を明確化(例:CV数・CPAなど)
- データを収集する:Google広告・GA・Yahoo!広告などからデータ抽出
- データを整理・可視化する:スプレッドシート・Looker Studioなどを活用
- 結果の背景を分析する:変化の要因を読み取り、仮説を立てる
- 改善案をまとめる:次回のアクションにつなげる提案を含めて報告
この流れを押さえることで、クライアントや社内に伝わりやすい、説得力のあるレポートになります。
リスティング広告レポートの構成テンプレートと作成ポイント
リスティング広告レポートを効率的に作成するためには、基本フォーマットを活用することが有効です。
ここでは、誰でもすぐに使えるレポートの構成要素と活用のコツを2つに分けてご紹介します。
基本のフォーマット構成
リスティング広告レポートは、一定の型に沿って構成することで、誰が見ても分かりやすくなります。以下は、汎用的に使える基本フォーマットの一例です。
| セクション名 | 内容の概要 |
|---|---|
| 概要(サマリー) | 総クリック数、CV数、CPAなどの全体パフォーマンスの要約 |
| KPI指標一覧 | 目標とするKPIと実績値の比較(CV数、CTR、CPCなど) |
| 詳細データ | キャンペーン別・キーワード別・デバイス別など、詳細な指標の内訳 |
| 考察・改善案 | 数値の背景にある要因分析と、次回に向けたアクションの提案 |
この構成をベースにすることで、報告対象や期間が変わっても対応しやすく、レポートの品質と一貫性を維持できます。
テンプレートを活用する際のポイント
テンプレートは形式を整えるだけでなく、「読み手にどう伝えるか」を意識して使うことで、レポートの伝達力が大きく変わります。活用時に押さえておきたいポイントを以下にまとめました。
- 内容は簡潔に、見出しとデータのバランスを意識する
- KPIは目的に応じて変える(CV重視/CTR重視など)
- レポートを見る人(社内/クライアント)に合わせて表現を調整する
こうした視点を意識することで、単なる「データの羅列」ではなく、納得感と改善提案のある価値あるレポートに仕上がります。
リスティング広告レポートの効果的な分析手法と改善の考え方
リスティング広告のレポートは、数値を並べるだけではなく、その背景や傾向を読み解き、次のアクションにつなげる視点が欠かせません。ここでは、分析の基本となるKPIの選定から、数値の読み解き方、改善策の導き方までを順を追ってご紹介します。
KPIの選定と活用方法
KPI(重要業績評価指標)は、広告の目的によって選ぶべき項目が異なります。以下のように目的別に整理すると、レポートで注目すべき指標が明確になります。
- リード獲得が目的の場合
コンバージョン数(CV数)、CPA(獲得単価)、CVR(コンバージョン率)を重視
- 認知拡大が目的の場合
インプレッション数、CTR(クリック率)が重要な評価軸
- Webサイトへの流入が目的の場合
クリック数、CPC(クリック単価)、セッション数などが判断材料
目的に応じたKPIの使い分けにより、データ分析の精度が高まり、ムダな指標に惑わされずに済みます。
KPIの考え方についてさらに理解を深めたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
https://owned.co.jp/column/ads/listing-ads-kpi
コンバージョンとクリック数の分析
CV数やクリック数は、多くのレポートで用いられる基本指標ですが、それぞれの関係性を読み取ることで、施策の改善点が見えてきます。
たとえば以下のような読み解き方があります。
- クリック数は多いがCVが少ない場合
→ 広告文には魅力があるが、ランディングページに課題がある可能性
- クリック数は少ないがCV率が高い場合
→ ターゲット精度は高いが、広告の表示回数や訴求力に改善の余地あり
このように、単一の数値ではなく「組み合わせ」や「変化のバランス」に注目することで、より立体的な分析が可能になります。
数値の解釈と改善案の導き方
集めたデータは「何が起きたか」だけでなく、「なぜそうなったのか」「次に何をすべきか」に落とし込むことが重要です。
改善策を考える際のポイント
- CTRが下がっている場合:広告文や表示オプションの見直しを検討
- CV率が伸び悩んでいる場合:ランディングページの導線や訴求内容を再チェック
- CPAが高止まりしている場合:無駄なキーワードやターゲティングの見直し、入札戦略の最適化を検討
改善案には、定量的な根拠と施策の優先順位が必要です。できれば「仮説→検証→改善」の流れをレポート内で一貫させることで、レポートの説得力が格段に向上します。
リスティング広告レポートの配信を自動化する方法
レポートの作成に加え、「配信の自動化」まで仕組み化することで、広告運用業務の効率が飛躍的に向上します。社内外の関係者とリアルタイムで情報を共有し、意思決定のスピードを高めるためにも、Slackやメールなどのチャネルを活用した自動配信が有効です。この章では、レポート配信の自動化手段と実装のコツをご紹介します。
Looker Studioを使った定期配信の設定方法
Looker Studio(旧:Googleデータポータル)では、レポートの定期配信機能が標準搭載されています。週次や月次など、任意のスケジュールを設定して、指定の宛先にレポートを自動送信することが可能です。
設定手順は以下の通りです。
- Looker Studioのレポートを開く
- 右上の「共有」→「スケジュール送信」を選択
- 配信先メールアドレス・日時・頻度(毎週・毎月など)を指定
- 形式(PDF/リンク)とメッセージ内容を設定して保存
社内向けはPDF添付、クライアント向けはURL共有+コメント形式など、受け手に応じて最適な形式を選びましょう。
Slackとの連携でリアルタイム共有を実現
Slackを利用している場合は、チャネル内でのレポート共有を自動化することで、社内コミュニケーションのスピードが格段に向上します。
たとえば、Google Apps Script(GAS)やZapierを使えば、Looker Studioのレポートリンクを週次で指定チャネルに自動投稿できます。以下はGASを使ったシンプルな例です。
- GASで定期実行トリガーを設定(週1回など)
- Slack Webhook URLを設定
- Looker StudioのURLと簡単な報告メッセージをJSON形式で送信
これにより、担当者の「送信忘れ」を防ぐだけでなく、レポートに即コメント・意思決定できる体制が整います。
メール+カレンダー連動で報告習慣を定着
Google Workspaceを活用している場合は、メール配信に加えてGoogleカレンダーと連動した「レポートタイミングの可視化」も有効です。
たとえば「毎月第1営業日の10時にレポート提出→同日11時に確認会議」といったスケジュールを事前に設定しておくことで、提出・確認の流れを自動化できます。こうした体制づくりは、社内外でのレポート活用率を高めることにもつながります。
リスティング広告レポートを改善するポイント
広告レポートは「提出して終わり」ではありません。過去の振り返りや受け手の反応を踏まえ、内容を磨き続けることで、広告運用の価値が高まります。ここでは、より良いレポート作成のために意識したい3つの観点を紹介します。
過去レポートの振り返りと改善提案
レポートの継続的な改善には、前回提出した内容との比較が欠かせません。以下のような視点でチェックすると、改善のヒントが見えてきます。
- 前回のレポートで伝えきれなかった点はあったか
- 報告内容に対して、実際の運用改善につながったか
- フォーマットや表現で、読み手に伝わりにくい箇所はなかったか
たとえば、「CTRは改善したがCVが減少した」といったケースでは、数値の変化だけでなく、その背景にある広告文やLPの内容の変化まで触れることで、より説得力のある分析となります。
フィードバックの活用と反映
クライアントや上司からのフィードバックは、レポートの質を高めるための貴重な情報源です。以下のようにフィードバックを活かす仕組みを整えましょう。
- 受けた指摘は記録し、次回のレポート作成時に確認する
指摘をそのまま反映するのではなく、「なぜそう感じたか」を掘り下げて改善策に落とし込む - コメント欄などに改善履歴を残して、読み手にも改善の意図が伝わるようにする
一方通行の報告ではなく、やり取りを重ねることでレポートが“運用を動かす資料”として機能するようになります。
担当者に求められる3つのスキル
より効果的な広告レポートを作成するために、担当者が身につけておきたいスキルは次の3つです。
- データ解釈力
数値の変化だけでなく、背景や因果関係を読み解く力 - 伝える技術
表やグラフを用いて、誰が見てもすぐに理解できる資料を作る力 - 改善提案力
数値の先にある課題や対策を導き出し、次の一手を提示する力
これらのスキルは、単に「数字を報告する人」から「改善提案のできるパートナー」へと役割を進化させるために不可欠です。
リスティング広告レポートで失敗しないための3つの注意点
リスティング広告レポートを正しく仕上げるためには、事前の設計と仕上げの確認が欠かせません。次の3つのポイントを押さえることで、信頼性の高いレポート作成が可能になります。
① 目的とKPIのずれに注意
レポートで使用する指標は、広告施策の目的に合っている必要があります。例えば、認知拡大を目的としたキャンペーンに対してコンバージョン数を中心に評価してしまうと、的確な改善提案が難しくなります。目的ごとにKPIを見直すことが大切です。
② 必要なデータの抜け漏れを防ぐ
レポートの説得力は、網羅的なデータに支えられています。収集漏れや比較指標の不足があると、正しい判断ができなくなる可能性があります。テンプレートやチェックリストを活用して、事前に必要項目を整理しましょう。
③ 数値や表記の誤りに注意する
単純な記載ミスでも、レポート全体の信頼性に影響します。単位の統一、表現の整合性、グラフと数値の整合などを確認したうえで、第三者のチェックを入れることも有効です。
これらの基本を徹底することで、読み手の信頼を損なわない、実用性の高いレポートへと仕上げることができます。
リスティング広告レポートについてまとめ
ここまでリスティング広告レポートについてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。
- リスティング広告レポートの基本は、目的の明確化からデータ収集・分析までの手順をしっかり踏むことが重要
- レポートの作成方法では、自動化ツールやフィードバックを通じて精度と効率を高められる
- 広告運用担当者に求められるのは、分析力・コミュニケーション力・情報感度など、複数のスキルがある
レポート作成は広告運用の「結果」をまとめるだけでなく、「次の一手」を導くための強力なツールです。
少しずつでも着実にスキルと知識を積み上げて、より効果的な広告運用を目指していきましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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