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リスティング広告の「マッチタイプ」とは?検索意図を捉える設定の基本

検索連動型のリスティング広告で成果を出すためには、ユーザーの検索意図に対して適切なキーワード設定を行うことが不可欠です。しかし、「マッチタイプ」の仕組みを理解していないと、見込みのないユーザーに広告が表示されたり、逆にチャンスを逃したりするリスクがあります。
本記事では、以下の点を中心にご紹介します。

  • マッチタイプの基本的な種類
  • マッチタイプの具体的な設定方法
  • マッチタイプ活用のポイントと注意点

リスティング広告における「マッチタイプ」の基本について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

マッチタイプとは?

リスティング広告における「マッチタイプ」とは、ユーザーが検索するキーワードと、広告主が設定したキーワードとの一致の度合いを示すルールです。この設定によって、広告が表示される条件が変わるため、広告の成果に大きな影響を与えます。
マッチタイプを適切に設定することで、無駄な広告表示を減らし、より意図に合ったユーザーへアプローチすることが可能になります。ここからは、具体的にどのような種類があるのかを詳しく見ていきましょう。

キーワードのマッチタイプには3つの種類がある

リスティング広告において、広告を表示させるための「キーワード」は、マッチタイプによってどの検索語句に反応するかが決まります。マッチタイプを理解することは、広告配信の精度や費用対効果を高めるうえで非常に重要です。ここでは、現在主に使われている3つのマッチタイプについて詳しく解説します。

完全一致

完全一致は、設定したキーワードと検索語句が「意味的にほぼ同じ」である場合に広告が表示されるマッチタイプです。たとえば「革靴 メンズ」と完全一致で設定した場合、「メンズ 革靴」や「男用 革靴」などの意味が近い検索語句でも広告が表示される可能性があります。かつては文字列が完全に一致しなければ表示されない仕様でしたが、現在では表記ゆれや類語、誤字も含めて広告が表示されるようになっています。検索意図が明確なユーザーにリーチしやすいため、費用対効果を重視する場合に適したマッチタイプです。

フレーズ一致

フレーズ一致は、設定したキーワードが検索語句の中に同じ語順で含まれている場合に広告が表示される仕組みです。たとえば「革靴 メンズ」で設定した場合、「高級 革靴 メンズ」や「革靴 メンズ 人気ランキング」といった検索にも対応します。一方で、「メンズ 革靴」など語順が異なる場合は対象外となる可能性があります。このマッチタイプは、検索の自由度と意図のマッチ精度のバランスが良く、比較検討層など幅広いユーザーを狙いたい場面で有効です。

インテントマッチ(旧称:部分一致)

インテントマッチは、設定したキーワードと完全に一致していなくても、検索意図が近いと判断された場合に広告が表示されるマッチタイプです。たとえば「革靴 メンズ」で設定していても、「ビジネスシューズ 男性用」や「通勤用 靴 メンズ」などの語句で広告が表示されることがあります。もっとも表示対象の幅が広く、新規ユーザーや潜在層へのアプローチに効果的です。ただし、意図しない検索語句にも反応する可能性があるため、除外キーワードの設定や定期的な確認が欠かせません。

マッチタイプの設定方法

マッチタイプは、広告を表示させる検索語句の範囲を調整するための重要な要素です。Google広告とYahoo!広告では、管理画面またはエディターと呼ばれる専用ツールを使って設定できます。それぞれの媒体での設定方法を理解して、運用に合った選択をすることが成果を高めるポイントです。

Google広告

Google広告では、管理画面とGoogle広告エディターの両方からマッチタイプを設定できます。キャンペーンや広告グループの規模に応じて使い分けると、より効率的な運用が可能です。

①管理画面

Google広告の管理画面では、新しいキーワードを追加する際にマッチタイプを記号付きで入力します。完全一致には角括弧 [ ]、フレーズ一致には引用符 ” ” を使用し、インテントマッチ(部分一致)はそのままキーワードを入力します。キーワードごとのマッチタイプ変更も後から可能で、検索語句レポートと合わせて表示精度の改善が図れます。小規模〜中規模のアカウント運用では、管理画面だけでも十分に対応できます。

②エディター

Google広告エディターは、複数のキーワードや広告グループを一括で編集・設定するのに適したオフラインツールです。CSV形式でまとめてインポート・エクスポートできるため、大規模なアカウントを運用する場合に効率的です。マッチタイプはエディター上の「マッチタイプ」列で指定し、「完全一致」「フレーズ一致」「部分一致」などを入力するだけで設定が反映されます。変更内容はアップロード前に確認できるため、ミスのリスクも抑えられます。

Yahoo!広告

Yahoo!広告でも、Google広告と同様に、管理画面と専用のエディターを使ってマッチタイプを設定できます。操作性やルールは似ていますが、各媒体の仕様に応じた設定方法を正確に把握することが重要です。

①管理画面

Yahoo!広告の管理画面では、キーワード追加時にマッチタイプを記号で指定します。完全一致は [ ]、フレーズ一致は ” “、インテントマッチは記号を付けずにキーワードを入力することで設定できます。キーワードの一括編集や除外キーワードの登録も、画面上で直感的に操作可能です。広告の表示状況をレポートで確認しながら、マッチタイプの見直しを行うことで広告の精度向上が期待できます。

②エディター

Yahoo!広告のエディターは、大量のキーワードやキャンペーンを一括で管理・編集できるツールです。エディター内の入力項目に応じて、「マッチタイプ」の列に設定を反映させます。完全一致・フレーズ一致・インテントマッチ(部分一致)をそれぞれ明記することで、アップロード時に正確な設定が可能です。アップロード前にエラーをチェックする機能もあり、大規模アカウントでも安定した運用ができます。

マッチタイプの活用ポイント

マッチタイプはただ設定すればよいものではなく、目的や運用状況に応じて活用方法を最適化することが重要です。広告効果を高めるためには、基本的な運用指針を押さえておく必要があります。ここでは、実務で押さえておきたい活用のポイントを3つ紹介します。

ポイント①原則インテントマッチを使用する

現在のGoogle広告やYahoo!広告では、基本的にインテントマッチ(旧・部分一致)を推奨する運用方針が採られています。これは、機械学習の進化により、ユーザーの検索意図をより的確に判断できるようになったためです。意図しない表示を防ぐために完全一致に頼りたくなる場面もありますが、ターゲットの母数を広げ、より多くの潜在層へリーチするにはインテントマッチが有効です。広告効果の検証を繰り返しながら、除外キーワードとの組み合わせで精度を高める使い方が基本となります。

ポイント②除外キーワードを定期的に追加する

インテントマッチを活用する際に不可欠なのが、除外キーワードの適切な設定です。どれだけ意図に近い検索に表示されやすくなったとはいえ、すべてが理想通りに機能するわけではありません。検索語句レポートを活用して、成果に結びつかない検索語句や、商品・サービスと関係の薄いクエリを確認し、それらを定期的に除外設定することで、広告の費用対効果を高めることが可能です。除外キーワードの見直しは、運用者の重要なタスクのひとつです。

ポイント③キーワードの類似パターンを理解する

マッチタイプによっては、登録したキーワードの表現が少し変化しても広告が表示されます。たとえば「スポーツウェア」というキーワードで「運動服」「ジム用服」などが対象になる可能性があります。特にインテントマッチでは、意味が類似する表現にも反応するため、想定される類義語や検索パターンを理解しておくと、より効果的なキーワード設計ができます。これにより、必要以上に多くのキーワードを設定することなく、幅広い検索ニーズに対応できるようになります。

マッチタイプにおける注意点

マッチタイプを有効に活用するためには、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。誤った使い方をすると、パフォーマンスが悪化したり、広告費が無駄になったりする恐れがあります。ここでは特に注意すべき3つのポイントを解説します。

キーワードに複数のマッチタイプを設定しない

1つのキーワードに対して、同時に複数のマッチタイプを設定するのは基本的に避けるべきです。たとえば、同じキーワードを完全一致とフレーズ一致の両方で登録すると、どちらが優先的に表示されるかは入札価格や広告ランクなどによって変動します。その結果、意図しない広告配信や分析の混乱を招くことがあります。キーワードの目的を明確にし、それぞれの役割に応じてマッチタイプを使い分けるのが理想的です。

除外キーワードにおけるマッチタイプ

除外キーワードにもマッチタイプが存在することを忘れてはいけません。特に、完全一致で除外する場合は特定の語句に限定されるため、類似する表現の流入を防げないことがあります。一方、フレーズ一致やインテントマッチで除外設定をすると、広範囲に影響する可能性があるため、慎重に選定する必要があります。除外キーワードのマッチタイプを正しく使い分けることで、広告の表示対象を適切に制御し、無駄なコストを抑えることが可能になります。

完全一致は文字列の完全一致ではない

「完全一致」という名称から、文字列が完全に一致しなければ表示されないと考えがちですが、実際にはそうではありません。Google広告では、「意味的に同じ」と判断される類義語や言い換え、誤字脱字などにも反応する仕組みが採用されています。たとえば「スニーカー」で完全一致を設定していても、「スニーカー」や「運動靴」などで広告が表示されるケースもあります。この仕様を理解せずに運用すると、意図しない表示が発生することもあるため、常に検索語句レポートを確認しながら調整していくことが大切です。

まとめ

ここまでリスティング広告における「マッチタイプ」の基本についてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。

  • マッチタイプには「完全一致」「フレーズ一致」「インテントマッチ」の3種類があり、それぞれ広告が表示される条件に違いがある
  • Google広告・Yahoo!広告の管理画面やエディターを使えば、マッチタイプを柔軟かつ効率的に設定できる
  • マッチタイプの運用では、インテントマッチの活用と除外キーワードの定期的な見直し、設定時の注意点を踏まえることが重要

マッチタイプを適切に使いこなすことで、広告のパフォーマンスを最大化し、より多くの見込み顧客にリーチすることが可能です。運用に迷ったときは基本に立ち返り、本記事を参考に設定を見直してみてください。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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