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リスティング広告の予算の決め方は?相場・計算方法・運用別の考え方を解説

「リスティング広告の予算って、いくらくらいから始めるのが正解?」と悩んだことはありませんか?
広告費を無駄にしないためには、相場を把握するだけでなく、目的に応じた予算の決め方を知っておくことが大切です。
本記事では、以下の点を中心にご紹介します。

  • リスティング広告にかかる費用の基本と相場
  • 広告費の効果的な決め方と予算の算出方法
  • 予算が余ったとき/足りないときの対処法や費用を抑えるコツ

リスティング広告の予算の決め方について、失敗しないための考え方をまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。

Googleリスティング広告の費用相場や配信予算の目安をより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。

https://owned.co.jp/column/ads/google-listing-ads-cost

リスティング広告の費用相場と仕組み

リスティング広告は「クリックされるごとに費用が発生する」仕組みです。広告が表示されるだけでは課金されず、クリックされたときだけ費用が発生します。この費用は「クリック単価(CPC)」と呼ばれ、次の要素によって変動します。

クリック単価が決まる主な要因

  • 入札価格(競合との価格競争)
  • 広告の品質スコア(広告文・LPとの関連性、CTRなど)
  • 配信対象のキーワードの競争率

品質スコアが高い広告は、同じ入札額でも表示順位が上がり、CPCを抑えることが可能です。

業種別のCPC相場の目安

以下は主要業種ごとのCPC相場の一例です。目安として参考にしてください。

業種平均CPCの目安補足
不動産800〜1,500円高単価かつ競争が激しい
人材・採用600〜1,200円成果単価が高く入札が集中 
EC・通販200〜500円商品価格により最適CPCが変動
地域サービス(整体・美容など)100〜300円ローカルKWはCPC低め

広告費のコントロール性

リスティング広告は1日単位・月単位で予算上限を設定できるため、少額からのスタートも可能です。
また、時間帯・地域・デバイスなど配信設定を細かく調整できるため、費用対効果を高めやすいのが特長です。

品質スコアとCPCの仕組みを理解する

リスティング広告の費用は「クリック課金制」であるため、1クリックあたりの単価(CPC=Cost Per Click)が広告コストを左右します。ただし、このCPCは単に入札額の高低だけで決まるものではありません。
広告の品質を示す「品質スコア(Quality Score)」も、CPCに大きな影響を与える重要な指標です。

クリック単価(CPC)はどう決まるのか?

Google広告などのリスティング広告では、オークション形式で広告の掲載順位とCPCが決まります。CPCは、以下のように「次点の広告ランク」と「自社の品質スコア」によって算出されます。

  • クリック単価 ≒(次点の広告ランク ÷ 自社の品質スコア)+ 1円

つまり、品質スコアが高ければ、高額な入札をしなくても上位表示され、CPCも抑えられるという仕組みです。

品質スコアを構成する3つの要素

品質スコアは以下の3つの要素で評価され、各項目は「平均以上」「平均的」「平均以下」でスコアリングされます。

要素評価の意味改善の方向性
広告文の関連性キーワードと広告文のマッチ度広告見出し・説明文を見直す
予測クリック率(CTR)ユーザーが広告をクリックしそうか強い訴求・明確なベネフィット提示
ランディングページの利便性ページ内容が広告と一致しているか内容の整合性・表示速度の改善 

品質スコアが広告費に与える影響

品質スコアの改善は、クリック単価の引き下げや掲載順位の向上につながります。以下は、品質スコアの違いによって同じ入札額でも掲載順位やCPCに差が生まれる例です。

広告主入札価格品質スコア広告ランク
(入札×金額)
結果
A社150円10点1,500円最上位、低CPCで上位表示が可能
B社200円5点1,000円表示順位が下がり、CPCは割高になる

広告ランクが高いほど、より上位に広告が表示されやすく、クリック単価も相対的に安くなる傾向にあります。

品質スコア改善のために取り組むべきこと

広告運用で成果を最大化するには、単に予算を増やすのではなく、広告の質を高めて品質スコアを改善することが重要です。次のような施策が効果的です。

  • 広告文の定期的な改善:クリックされやすい表現、検索意図と合致した文言に見直す
  • キーワードとの整合性を保つ:広告グループごとにテーマを絞り、関連性を高める
  • LPの利便性を強化:スマホ表示対応・情報の簡潔化・ページスピードの向上など

品質スコアは、広告の「見やすさ」「伝わりやすさ」「関連性の高さ」を示す重要な評価軸です。広告費を抑えつつ成果を出したいと考えるなら、まずは広告の質を見直すことが近道です。CPCの裏側にある仕組みを理解することで、より戦略的な予算設計が可能になります。

広告予算の決め方と設計の基本

リスティング広告の予算は、「なんとなく」で設定してしまうと、成果が見えにくくなったり、費用だけが先行してしまったりすることがあります。
適切な予算を決めるには、目標や事業計画に基づいたロジカルな設計が欠かせません。

ここでは、広告予算を算出する際に使える4つの代表的な方法をご紹介します。自社のフェーズや目的に合わせて使い分けることで、無理のない予算設定が可能になります。

1. 成果目標から逆算する(CPAベース)

「月に○件の成果(問い合わせ・購入など)を獲得したい」という明確な目標がある場合に有効です。
1件あたりの許容コスト(CPA)×目標件数で、月間の広告費を逆算します。

計算式:予算 = 目標CPA × 月間CV目標件数

例: 1件の問い合わせに5,000円までかけられる → 月20件目標 → 広告費は100,000円

2. 売上から逆算する(広告費率ベース)

広告による売上貢献をKPIにする場合に使いやすい設計です。
売上目標 × 広告費率(業界平均:5〜15%)で予算を算出します。

計算式:予算 = 売上目標 × 想定広告費率

例:月間売上目標100万円 × 広告費率10% → 広告予算は10万円

3. 限界CPAから算出する(利益基準)

利益を確保しつつ成果を出すために、「1件の成果にかけられる上限額(限界CPA)」を先に定義し、それに基づいて予算を決める方法です。

計算式:限界CPA = 商品単価 × 粗利率

例:商品単価 10,000円/粗利率 50% → 限界CPAは5,000円
→ 5,000円を超えるCPAになるようなら運用見直しの基準とする

4. キーワードから試算する(CPCベース)

実際に配信したいキーワードのクリック単価(CPC)×想定クリック数で広告費を試算する方法です。キーワードごとの需要とコスト感を把握しながら現実的な予算を設定できます。

計算式:予算 = 平均CPC × 1日の目標クリック数 × 想定日数

例:平均CPC:400円、1日30クリック、月30日 → 月予算は約36万円

各予算算出方法の比較

各手法にはそれぞれ適したケースやメリットがあります。

以下に、主な算出方法の特徴と向いているシチュエーションを比較表でまとめました。

方法向いているケース特徴
成果目標から逆算CV数が明確/CPA重視の広告運用成果基準で確実に設計できる
売上から逆算売上KPIを設定している事業全般上層指標と連動しやすい
上層指標と連動しやすい利益率が決まっている商品/サービス採算ラインを死守できる
CPCベース試算キーワード単価が明確/小規模予算手元のデータで設計しやすい

広告予算は「大きければ成果が出る」というものではありません。大切なのは、自社の目標やビジネスモデルに応じて根拠を持って設計することです。

どの算出方法も一長一短がありますが、複数の視点を組み合わせて予算を設計すれば、無理なく安定した運用が実現できます。

キーワード単価や広告費を無駄なく使うための最適化方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

https://owned.co.jp/column/ads/listing-ads-keywords-unit-price

ROASを活用した費用対効果の最適化

リスティング広告の費用対効果を評価する際、「CPA(1件あたりの獲得単価)」を重視するケースが多く見られます。しかし、売上金額や利益貢献度まで含めた本質的な評価を行うなら、ROAS(Return on Advertising Spend)を用いるのが効果的です。

広告の成果を“金額ベース”で把握できるため、単なる「件数」だけでは判断できない費用対効果の見直しにつながります。

ROASとは?広告費に対する売上の割合を示す指標

ROASとは「広告費に対して、どれだけの売上を得られたか」を示す指標で、以下の式で算出されます。

  • ROASの計算式:ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100

例:広告費が10万円で、広告経由の売上が50万円だった場合
→ ROASは 500%(= 50万 ÷ 10万 × 100)

この場合、広告費の5倍の売上を上げられたという意味になります。

ROASが効果的な理由と活用シーン

ROASは、以下のようなケースで特に有効です。

  • 商材ごとに売上単価が異なる場合(例:A商品は1万円、B商品は5,000円など)
  • CV件数よりも「売上インパクト」を重視したい場合
  • 中長期的に収益性を追いたい場合

CV数だけを見て判断すると、売上や利益が下がっていることに気づけない場合があります。ROASを導入することで、「成果の中身」を金額ベースで見極めることが可能になります。

目標ROASを設定するための目安

広告運用では、目標ROAS(ターゲットROAS)をあらかじめ設定しておくことで、運用効率の判断軸が明確になります。以下は、業種別に目標ROASの一例です。

業種・ビジネスモデル目標ROASの目安備考
EC(物販系)300〜500%商品原価や配送コストに応じて調整
サブスク型サービス200〜400% LTVを含めて中長期で評価する必要あり
高単価コンサル・BtoB商材500〜800%成約率が低いため高ROASが求められる

上記はあくまで参考値であり、粗利率や固定費も考慮したうえで目標を設定するのが理想です。

ROASとCPA、LTVの使い分け

ROASは万能な指標ではなく、CPAやLTVと組み合わせて活用することが重要です。目的や評価軸によって、以下のように使い分けるのが効果的です。

指標評価対象向いているケース
CPA獲得コスト(1件あたり)CV件数が明確な場合(例:問合せ獲得)
ROAS売上ベースの回収率売上金額が異なる複数商材を扱う場合
LTV顧客の生涯価値 サブスク型やリピート商材に最適 

リスティング広告の費用対効果を高めるには、「件数」だけでなく「売上」や「利益」に基づいた評価が欠かせません。
ROASは、そうした経営的視点を広告運用に持ち込むための有効な指標です。

CPAやLTVと組み合わせながら、“何をもって成功とするか”の基準を明確にすることが、持続可能な広告戦略の第一歩となります。

代理店運用と自社運用の違い|予算に応じた選び方

代理店に依頼する場合の特徴と費用感

代理店に依頼する場合、広告文の作成や改善提案などをすべて任せられるため、社内に運用ノウハウがない企業に適しています。手数料は広告費の15〜20%が目安で、月額5〜10万円程度の最低契約がある場合もあります。一定の費用が必要ですが、安定した運用が期待できます。

自社で運用する場合のメリットと注意点

自社で運用すれば、広告費のすべてを配信に充てられるためコストを抑えやすくなります。ただし、専門知識がないと成果が出にくく、費用が無駄になるリスクもあります。まずは少額でテスト運用を行い、対応可能な範囲を見極めるのが現実的です。

予算運用で困ったときの工夫|余った/足りない場合の対応法

リスティング広告の運用では、あらかじめ設定した広告予算が「予定よりも余る」「途中で足りなくなる」といった課題に直面することがあります。
こうした状況に適切に対応できるかどうかが、広告のパフォーマンスを安定させる鍵となります。

ここでは、予算が余った場合と足りなくなった場合のそれぞれの対応策を具体的に紹介します。

予算が余ったときの対応策

広告予算が消化しきれない原因としては、「入札額が低すぎる」「配信ボリュームが不足している」などが考えられます。そのまま放置すれば、機会損失にもつながりかねません。

予算が余っているときの改善アプローチ

  • 配信範囲を広げる
    例:エリアを拡大する、時間帯設定を見直す
  • 新たなキーワードを追加する
    例:部分一致を活用して関連語句にも配信を広げる
  • 広告クリエイティブのテストを増やす
    例:ABテストを通じて反応率の高いパターンを発見する
  • ディスプレイ広告やSNS広告への予算振替
    例:検索ボリュームが少ない場合、潜在層へのアプローチに転換する
  • 今後のキャンペーンに備えた仕込み
    例:ブランド認知やリスト獲得を目的としたプレ配信を行う

無理に消化せず、「将来の成長」につながる使い方を選ぶのがポイントです。

予算が足りないときの対応策

成果が見えてきた段階で予算が尽きてしまうと、機会損失だけでなく、分析や最適化のチャンスを逃すことにもつながります。限られた広告費の中でも、工夫次第で成果を維持することは可能です。

予算不足時に検討すべき施策

  • 優先度の高いキーワード・広告に絞る
    例:CVに直結しているワードや広告グループに集中投下
  • 除外設定を見直して無駄を削る
    例:「無料」「使い方」など成約につながりにくい語句を除外
  • 配信条件を調整する
    例:深夜やCV率の低い曜日・デバイスの除外や調整
  • クリエイティブ改善で費用対効果を高める
    例:広告文の見直しやLP改善でCTR・CVRを向上させる
  • オーガニック施策を併用する
    例:SNSやブログでの集客を強化し、広告依存を軽減する

「成果が出る部分を残して削る」という判断が重要です。

どちらの場合も大切なのは「見直しと優先順位づけ」

予算の過不足に直面したとき、最も避けたいのは「何となく運用を続ける」ことです。状況を分析し、どこに優先的に投資するか/削減するかを明確に判断することが、成果の最大化につながります。

また、Google広告などには、日予算上限に加えて「共有予算」機能や自動入札戦略など、柔軟な調整をサポートする機能もあるため、積極的に活用するとよいでしょう。

リスティング広告の運用は、状況に応じて柔軟に軌道修正する姿勢が欠かせません。
予算が余るときも、足りなくなるときも、「なぜそうなったのか」を正しく把握し、戦略的に予算配分を見直すことが、安定的な成果につながる近道です。

リスティング広告の費用を抑える4つの方法

広告の効果を保ちながら費用を抑えるには、キーワード設計や広告品質、配信条件の見直しがカギとなります。この章では、リスティング広告においてコストを削減しつつ、成果を維持または向上させるための4つの具体策を紹介します。

除外キーワードを設定する

無関係な検索語句によるクリックは、費用を浪費する大きな原因です。例えば「無料」「使い方」「バイト」など、商材や目的と合致しない語句での表示を防ぐために、除外キーワードの設定が不可欠です。Google広告の検索語句レポートを活用し、コンバージョンにつながらない検索ワードを定期的に除外することで、無駄なコストを着実にカットできます。

マッチタイプを検討する

キーワードのマッチタイプの設定は、表示の精度に直結します。部分一致は幅広い検索語句に対応しますが、意図しない表示も増えやすいため、クリック単価が高騰しやすくなります。一方、フレーズ一致や完全一致を活用すれば、広告の表示を検索意図の高いユーザーに絞り込めます。マッチタイプを最適に使い分けることで、費用対効果の高い運用が実現できます。

広告の品質を高める

Google広告では「広告の品質スコア」が高いと、同じ入札金額でも広告の表示順位が上がり、クリック単価が下がる傾向があります。広告文とキーワードの関連性、ランディングページのユーザー体験を改善することで、このスコアを高めることができます。つまり、品質の高い広告ほど、コストを抑えながら成果を出せるというわけです。

配信対象を限定する

広告の配信対象を「本当に成果が期待できる層」に絞ることも、費用抑制の大きなポイントです。地域・時間帯・デバイスなどの条件を見直し、クリック率やCV率の高いセグメントに集中させることで、成果に直結しない配信を避けられます。また、再訪問ユーザーや特定の年齢層にターゲットを絞るなど、細やかなターゲティング調整が効果を発揮します。

リスティング広告の予算の決め方についてまとめ

ここまでリスティング広告の費用や予算の決め方についてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。

  • リスティング広告の費用はクリック課金制で、相場や業界によって変動する
  • 費用設定は目標CPAやLTV、クリック単価などの指標をもとに論理的に決める
  • 余った予算や不足する予算にも柔軟に対応できるよう、改善と最適化を重ねることが大切

広告は一度配信したら終わりではなく、継続的な見直しと調整によって効果を最大化していくものです。自社の目的に合った予算設計と柔軟な運用スタンスを身に付けることで、無理のない広告戦略が実現できます。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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